ブルースカイ
「あなた達は病院で出逢ったのね。
・・・翼からは、恩師に、娘さんが、この近くで、マンションを借りる予定だから、決まるまでの間、うちに置いて欲しいって頼まれたって・・・聞いてたんだけど・・」




他に誰も口を開かないこの空間で


美香さんは、私がこの家に今居る事の、疑問を口にする。


ふと、隣の翼をみると、何も聞いてないように、前のテーブルをじっと睨んでいた。





「・・・それは、違うんです。」



わたしは答えた。



「実は今、ママの居る家に帰るのは色々と、問題があって・・・退院しても行くところがナイ私を、翼が、助けてくれたんです。結果的に美香さん達にはウソをつくような事になってしまったんですけれど・・・」





「・・そう・・詳しい理由は聞かないけれど・・大体分かるわ。あのユリさんの事だから・・・」




「すみません。」




「あなたは知ってるかもしれないけど・・ユリさんは、昔、兄の行き着けのお店のホステスをしててね―あの時はまだ、17、8歳くらいだったかしら、綺麗な子でね。。兄が本気になるまで、そう時間はかからなかったの・・・」




私のママを重ねてるんだろうか・・


時折、恨めしそうな表情を見せながら、美香さんは、語った。




「それから一年位経って、あなたが生まれて・・・、それから兄はこの家には帰らなくなったわ・・・以前から兄は病魔に侵されていたから、余生を自由に行きたかったのね・・」




こんなに詳しく両親の話を聞くのは初めてだった。


パパが死んでから、しばらく、ママは毎日泣きどおしだった―


それ以上、悲しませたくなくて


私はママとまともにパパの話をしたことなかったから・・









< 210 / 276 >

この作品をシェア

pagetop