ブルースカイ
「今日は、急患があって、悪かったね・・お母さんの三回忌どうだった?」



「うん。中井さんとも久々に会って・・少し元気になってたみたい。まだ再婚する気はないんですって・・あんなに愛されてママも喜んでるわね。」




「そう。あれから、三年・・経つんだな。」





翼がつぶやく。







三年前――





ママが死んだ。





ママに金をせがんで、断られた武田は、





新居までやって来て、





包丁で、ママを刺したんだ。






武田は捕まって、





今は刑務所の中にいる。





憎んでも憎みきれない男・・





今は、法廷で、ママの夫の吉田さんが、武田と戦っていた。



私は忙しい吉田さんに代わって、毎日ママのお墓参りをする。




静かにたたずむその墓石に、溢れだす言葉を投げかける――




「ママ、産んでくれてありがとう・・」



今なら、素直に言えるのに――・・・





「・・・美緒、大丈夫か?」




いつの間にかあふれ出した涙を



翼はそっとぬぐってくれた。
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