ブルースカイ
「ばあちゃんさぁ、今はこんなだけど、


昔は、気立て良しの、すっげー美人だったんだぜ。」





テストで良い点数とった時みたいに




嬉しそうな顔で翼が言った。





「それ、あんたの自慢なんだ。。。」




「だってすごいんだぜ。昔、女学生で、学校に通ってたばあちゃんを、医者だったじいちゃんが一目惚れするくらい。。」





「へぇ~・・・よほど綺麗だったんだね。あんたのおばあちゃん。


おじいちゃんが医者か・・

もしかして・・・あんた、お父さんも医者?」



良くある話――。



こいつは、医者一家のボンボン息子なんだ・・多分





「あぁ。・・・


でも、オヤジは俺の小さい頃に病気で、死んだんだ。」




「・・・そうなんだ。」





翼は何でもないように、普通に、言ったけど、




私は一瞬、返す言葉に困ってた。





幸せに包まれて育ったような、こいつにある意外な過去・・






お父さんの死―・・・





私とおんなじ。





じゃあ・・こいつはどうして、こんなに、明るく笑うことが



できるんだろ。





空が好き。





そんな素直な心をどうして今まで、持つことができたんだろ。




私には分からなかった。
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