ブルースカイ
月に照らされた病院の中庭は




夜の空気に熱を帯びていた。





「暑いね。外は」



「ああ」



翼は私の手を引いて、どんどん病院から、遠ざかってく。




「翼、どこに行くの・・」




「ここだよ。」





低い植木の間を通り抜けると、大きな赤いベンチがあった。





大きい木が邪魔して、病院からは見えないところ。





「不安なときとか、時々ココに来て、


月、見上げてるんだ。」




「あんた、そんなことしてたんだ。」




「ここだったら、誰にも邪魔されないし、



病院の事も少し忘れられるだろ。」



「・・そうだね。」




二人でベンチに座り、



私は翼の肩によりそって、空を見上げる。


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