zinma Ⅲ
「西………?」
シギは書類を受け取ってそれをぺらぺらとめくる。
そこには西への出兵報告や状況報告、人員申請などが記録されていた。
「………西に軍が出兵しているのは事実なんですね。
しかしなぜあんなに厳重に保管してあったんでしょうか……
南の報告書もかなりの機密情報であるのに、あちらは棚にありましたよね?」
シギがそうつぶやくと、レイシアもうなずく。
「えぇ。そこが謎です。
今のところ考えられるのは……
もしかしたら軍はまだゴルディア族の謎の増強に関して情報が掴めていないのかもしれません。
だから、情報が整理されずまだあの程度の扱いなのでしょう。
逆に西は、軍の裏の顔を表している。
軍はよっぽどひどいことを西の村に行っている可能性があります。」
そこでレイシアが軽い身のこなしで立ち上がる。
「今のところ最優先事項は西へ直接向かうことかもしれません。
西に関しては、自分の目で確かめなければならないでしょう。」
レイシアは一度大きく伸びをして窓へ歩いて外をのぞく。
「とりあえず私は昨日の先頭でナイフも失いましたし、少々買い出しに行ってきます。
あなたは休むなり出かけるなり好きに過ごしてください。」
太陽の高さと天気を確認すると、レイシアはドアへと向かう。
そしてドアノブに手をかけたところで、ふと振り返る。
「あ、ちなみに私のオススメは出かけることです。
あなたの求めている結果に、早く辿り着けるかもしれませんよ。」
そう言い残すと、レイシアは静かに部屋を出て行った。
「私の求めている結果……?
師匠は何を………」
シギはそうつぶやいてしばらく黙り込むが、考えても仕方ないと思い、外へ出かける準備を始めたのだった。