zinma Ⅲ
廊下に出ると、シギも部屋から出て来たところだった。
「来たようです。」
とシギが言うので、
「そのようですね。」
とレイシアが笑い、2人は酒場に降りて行く。
その2人に着いて酒場へと降りると、酒場には数人のミルドナの守衛がやって来ていた。
シギがその守衛たちに縛り上げた男たちのことを説明している。
何人かの守衛はその男たちを連行し始め、他の何人かは酒場の主人がいる部屋へと向かった。
「これが?」
とナムが聞くと、その様子を見ていたレイシアが振り向き、ふわりと微笑む。
「はい。」
そしてまた前を向くと、そのまま続ける。
「ずいぶん悪そうな方たちだったので、守衛さんを呼びに行ってもらっていました。
守衛さんたちがやって来るまでにこの酒場に彼等を引き止めて、気絶させておけば良いと思ってたのですが…」
そこまで言ってレイシアは笑う。
「早く気絶させすぎましたね。」
それにナムも笑い、
「本当に強いから驚きました。
強さは筋肉だけではないんですね。」
と言って力こぶを作る仕草をする。
それにレイシアはまた笑い、ナムも笑った。
ナムをミルディー亭へと連れて帰りナムが主人たちにいきさつを説明すると、夫人は泣いて喜び、主人はすごい力でレイシアとシギの背中を叩きながら言う。
「あんたらすごいじゃないかあ!
やっぱりうちの婿になってくれよ!」
と言い、また大声で笑う。
それにまたナムが真っ赤になり、レイシアが答える。
「はは、ありがたい話ですが、明日ここを発ちます。」
それにナムも主人も、泣いている夫人も驚いた顔をし、
「そんなに早く?」
とナムが聞く。
「ええ。行き先が決まったので。」
そう言うレイシアに何も言えず、夫婦も残念そうにしながら納得してくれた。