zinma Ⅲ



廊下に出ると、シギも部屋から出て来たところだった。

「来たようです。」

とシギが言うので、

「そのようですね。」

とレイシアが笑い、2人は酒場に降りて行く。



その2人に着いて酒場へと降りると、酒場には数人のミルドナの守衛がやって来ていた。



シギがその守衛たちに縛り上げた男たちのことを説明している。

何人かの守衛はその男たちを連行し始め、他の何人かは酒場の主人がいる部屋へと向かった。


「これが?」


とナムが聞くと、その様子を見ていたレイシアが振り向き、ふわりと微笑む。


「はい。」


そしてまた前を向くと、そのまま続ける。


「ずいぶん悪そうな方たちだったので、守衛さんを呼びに行ってもらっていました。

守衛さんたちがやって来るまでにこの酒場に彼等を引き止めて、気絶させておけば良いと思ってたのですが…」


そこまで言ってレイシアは笑う。


「早く気絶させすぎましたね。」




それにナムも笑い、

「本当に強いから驚きました。
強さは筋肉だけではないんですね。」

と言って力こぶを作る仕草をする。


それにレイシアはまた笑い、ナムも笑った。







ナムをミルディー亭へと連れて帰りナムが主人たちにいきさつを説明すると、夫人は泣いて喜び、主人はすごい力でレイシアとシギの背中を叩きながら言う。



「あんたらすごいじゃないかあ!
やっぱりうちの婿になってくれよ!」

と言い、また大声で笑う。


それにまたナムが真っ赤になり、レイシアが答える。


「はは、ありがたい話ですが、明日ここを発ちます。」


それにナムも主人も、泣いている夫人も驚いた顔をし、

「そんなに早く?」

とナムが聞く。


「ええ。行き先が決まったので。」

そう言うレイシアに何も言えず、夫婦も残念そうにしながら納得してくれた。





< 17 / 364 >

この作品をシェア

pagetop