zinma Ⅲ
レイシアはそれになぜか嬉しそうに微笑む。
「あなたが頭の良い人でよかった。」
肯定の言葉にダグラスは、ふむとうなずき、続ける。
「君で何人目なんだ?
というより、ルミナ族のように一族として受け継がれるのか?」
それにレイシアは少し困ったように考え込んでから、答える。
「私のような存在は、世界に一人しか現れないシステムになっています。
何人目かはわからない。
ルミナ族と同じくらい古いうえに、私たちは連続して現れるわけではなく、機が来たら現れるので…。」
「機?
というと、君たちが現れるにはなんらかの条件が必要なわけだね?」
レイシアはこくりとうなずく。
「それは君たちに、なんらかの役割があるからなのか?」
そうダグラスが聞くと、レイシアは一度驚いたように目を見開いてから、またにっこりと微笑む。
「本当に話が早くてありがたいですね。」
それをダグラスは聞きながら、またしばらく考え込む。
たくさんの疑問の中から、いま聞くべきことを厳選していく。
「君たちの役割とは?」
「『呪い』を集めることです。」
ダグラスはそこでまた質問しそうになりながら、それを飲み込む。
「……どうやらその『呪い』は厄介なようだから、今は詳しく聞かないほうがいいな。」
ため息混じりにダグラスがつぶやくと、またレイシアは嬉しそうににこにこと微笑む。
その顔にダグラスも小さく笑い、あまりにも人知を超えたたくさんの情報に、一度ため息をつく。
「………そうか。
じゃあ、こういうことだな?
君はルミナ族と同じくらい古くから存在する特別な存在の現代の後継者。
ルミナ族の力と根源が同じだから、魔術が使える。
君はその特別な力を用いて、『呪い』というものを集めるという使命を果たそうとしている。」
レイシアはそれを最後まで静かに聞き、
「そんなところです。」
とうなずく。