zinma Ⅲ
ものすごい地面を揺らすほどの轟音が響いたかと思うと、目の前の建物が突然爆発する。
一気に炎があらわれ、すべてを焼き尽くしていく。
「え………な、なんなの……?」
それを言うことだけしかできず、窓際に立ち尽くす。
「…………!……」
「………ム!……」
「ナム!!!」
そこでナムは我に返る。
振り向くと、父さんと母さんが慌てて部屋に入ってきたところだった。
「窓から離れな!!!」
初めて見る母さんのすごい剣幕に、やっとナムの身体が反応する。
慌てて2人のいるほうへ駆け寄ると、さっきまでナムが立っていたところの窓が、割れる。
ガラスのカケラが舞うが、父さんが守ってくれる。
「父さん!!」
と叫ぶと、腕にかすり傷を負った父さんが逆に言う。
「早く家から出ろ!!」
それに母さんはナムの肩を抱きながら、出口まで走る。
父さんも後を追う。
何度も何度も揺れる床に苦労しながら、やっと外へ出る。
街は赤かった。
建物を焼き尽くす炎。
炎のおかげで昼間より明るく真っ赤に染まる夜空。
路地にしたたる、血。
ナムも夫人も主人も、がたがたと身体を震わせる。
絵本にしか出てこないような地獄が、目の前に広がっていた。
しかし、
「と、とりあえず街を出るんだ。」
と父さんが言い、母さんもナムも正気に戻る。
今にも抜けてしまいそうな膝に勝を入れ、なんとか走る。
街中の人が大慌てで王道へ向かう街道のほうへ走る。
その流れに沿って、ナムも必死で足を動かした。
「ナム!!がんばるんだ!!」
そう言って手を引いてくれる父さんと母さんに、必死でしがみつく。
バチィッ!!!!