zinma Ⅲ
レイシアのフードを、取る。
レイシアのプラチナ色のくせ毛がふわりと肩にこぼれる。
やっとダグラスたちにも見えたレイシアの横顔は、静かな表情で、真っすぐにティラを見ていた。
レイシアよりも拳1つぶん背の低いティラは、目を細めてレイシアの顔を覗き込む。
「あんた、サムラの人間ね?」
レイシアの表情はまったく変わらない。
しかし、
「師匠。」
シギの声にレイシアがその表情のままシギの方を向く。
「聞かれれば答えると、言いましたよね?」
それにレイシアはしばらく黙ってから、ふわりと微笑む。
「確かに。
本来なら、あなたたちふたりになら教えしてもいいのですが…
まあ、ティラさんは同郷のよしみで、教えましょう。」
それにティラの顔が一気に輝く。
「ほんと?!それじゃあ……」
レイシアはティラの方に向き合って、また微笑む。
「ええ、そうですよ。
私はサムラで産まれた。
ティラ・ルークさん。
あなたのことも、あなたの名前を聞いてやっと思い出しました。
お久しぶりですね。」
しかしティラは顔を思いっきりしかめて、腕を組む。
「んー。
でもあたしはあんたのこと、いまいちはっきりと思い出せないのよね。
顔は覚えてるんだけどー………」
そう言ってうなりながら考えこむティラを放って、シギがレイシアに声をかける。
「師匠、サムラの出身だったんですね。
だから西へ行きたくなかったんですか?」
それにレイシアは困ったような微笑みを浮かべる。
「ああ………
それもあるんですが、それだけではないんです。
まあそれは、ティラさんがいなくなってから、お話しましょう。」
しかしそれにダグラスとシギがうなずいたところで。
「ちょっと!聞こえてるわよ!
あたしだけのけ者にするなんてひどいわよ!
ちょっとの間でも仲間は仲間なんだから………って、ああああああ!!!!」
突然大声で絶叫したティラに、ダグラスとシギが耳をふさぎ、シギにいたってはあからさまに不機嫌な顔でティラを見る。