zinma Ⅲ



背後で大きな静電気のような音がしたかと思うと、たくさんの悲鳴が響く。


それに走っていた街の人たちの多くが足を止めてしまう。




ナムたちも振り向くと、さっきまで走っていた背後の人たちの3分の1くらいの人が、弾かれるようにして、吹っ飛ぶ。

血を大量に流し、地面に倒れ伏す。

だれも、動かない。




それにまた街の人たちが大声をあげながら、逃げはじめる。


パニックになり、こけた人もいる中で、だれもがそんな人たちを気にかけず走り続ける。



死が、背後から迫ってきているのだ。



ナムの両親も、

「ナム!!早く来るんだ!!」

と言ってナムを引っ張る。



しかし、

「な、なんだこれはぁっ!!」

と言う叫び声が、いくつも前方から上がる。


人混みが、止まる。



それに皆が前を見ると、門まであと少しのところで、皆立ち止まってしまっている。

門の手間に、静電気の膜のようなものが張っているのだ。

それは徐々に空へと伸び、見ると街の四方から同じような膜が伸びてきている。


このまま街を覆ってしまおうとしているかのように、街の空を目指して膜が集合しようとしている。



「と、閉じ込められたの……?」

思わずナムがそう言うと、いつもは笑ってばかりの父が、母さんとナムを強く引き寄せる。


何も言わず。



それに母さんは大声で泣きながら父さんの胸に頭を寄せる。

ナムの目からも、涙がこぼれ始める。





そこで、


「あいつだ!!!あいつが、こんなことを……!!!」


とだれかが叫ぶ。




それに皆その声のほうを見る。


その声が上がったのは、背後。
後ろのほうだ。


するとそこに。




昨日レイシアたちが撃退した大男が立っていた。





しかし様子がおかしい。


だらんと腕を降ろし、首もすわっていない。

口からはよだれが垂れ、目が血走っている。

まるでゾンビのような状態だ。





< 26 / 364 >

この作品をシェア

pagetop