zinma Ⅲ
背後で大きな静電気のような音がしたかと思うと、たくさんの悲鳴が響く。
それに走っていた街の人たちの多くが足を止めてしまう。
ナムたちも振り向くと、さっきまで走っていた背後の人たちの3分の1くらいの人が、弾かれるようにして、吹っ飛ぶ。
血を大量に流し、地面に倒れ伏す。
だれも、動かない。
それにまた街の人たちが大声をあげながら、逃げはじめる。
パニックになり、こけた人もいる中で、だれもがそんな人たちを気にかけず走り続ける。
死が、背後から迫ってきているのだ。
ナムの両親も、
「ナム!!早く来るんだ!!」
と言ってナムを引っ張る。
しかし、
「な、なんだこれはぁっ!!」
と言う叫び声が、いくつも前方から上がる。
人混みが、止まる。
それに皆が前を見ると、門まであと少しのところで、皆立ち止まってしまっている。
門の手間に、静電気の膜のようなものが張っているのだ。
それは徐々に空へと伸び、見ると街の四方から同じような膜が伸びてきている。
このまま街を覆ってしまおうとしているかのように、街の空を目指して膜が集合しようとしている。
「と、閉じ込められたの……?」
思わずナムがそう言うと、いつもは笑ってばかりの父が、母さんとナムを強く引き寄せる。
何も言わず。
それに母さんは大声で泣きながら父さんの胸に頭を寄せる。
ナムの目からも、涙がこぼれ始める。
そこで、
「あいつだ!!!あいつが、こんなことを……!!!」
とだれかが叫ぶ。
それに皆その声のほうを見る。
その声が上がったのは、背後。
後ろのほうだ。
するとそこに。
昨日レイシアたちが撃退した大男が立っていた。
しかし様子がおかしい。
だらんと腕を降ろし、首もすわっていない。
口からはよだれが垂れ、目が血走っている。
まるでゾンビのような状態だ。