zinma Ⅲ
レイシアもそのティラの、真剣な眼差しを静かに受け止めた。
ダグラスは目をふせて炎を見つめたまま、ただ座っていた。
「…………そうですね。
あなたのお兄さんも、私の探しているものを持っている可能性が高い。
まだ確信は持てませんが、その可能性もあります。」
ゆっくりとそう言ったレイシアに、ティラは足を抱く手に力を入れて、きつく唇を噛んだ。
そのティラの様子に、ダグラスが静かに目を向ける。
レイシアはまた静かに口を開いた。
「ティラさん。
ここまで来たのなら、あなたにはすべて話さなければならない。
聞いてくれますか?」
それにティラは、涙が溜まってさらに炎に輝く赤い瞳を上げ、しっかりとうなずく。
レイシアはそれにわずかに微笑んで、語りはじめた。
「……私が集めているのは、『呪い』と呼ばれるものです。
『呪い』は人にはない強大な力を持った、簡単に言えばお伽話に出てくる悪魔みたいなものです。
あなたのお兄さんのように、何か大きな悪の心、恨みや、悲しみなどを抱えた人間の前に現れます。
彼らは力を手に入れるために、『呪い』と契約をします。
力を手に入れる変わりに、その力に相当した代償を払ったそのとき、『呪い』との契約が成立する。」
そこまで言って、レイシアは一度息をついた。
ティラは予想外にも、冷静な、一度に入ってきた情報を整理しているような顔でレイシアを見つめ続けていた。
「……あなたのお兄さんも『呪い』の契約者になったならば、すでに何か代償を払ったのでしょう。
それがどれほどの代償なのか、それはあなたのお兄さんが契約した『呪い』によるのでわかりません。
しかし話を聞く限りでは、『干渉』と呼ばれる『呪い』の一派である可能性が高いです。」
その言葉に、火をかまっていたシギがわずかに反応した。
ルミナ族から『選ばれしヒト』の知識を受け継いでいるシギには、それがどんな『呪い』で、どれほどの代償を必要とするのか、わかっていたのだ。