zinma Ⅲ




まるで子供が作戦会議をするかのように丸くしゃがみ込んだ3人は、顔を寄せて話をはじめた。



「いいですか?
『呪い』には大きく分けて2つの種類があります。

解放型と、干渉型。
これは私が勝手に名付けた種類ですから他にも分類できるかもしれませんが。」


そう説明するレイシアに、ダグラスとシギは集中するように黙ったままうなずく。


「解放型は自分の力を使って周りに被害を与えるタイプの『呪い』ですが、干渉型はより悪質。

その名のとおり、力によって人間に干渉するんです。

簡単な例を出せば、シギの中のルミナ族の『呪い』のように、ただ自分の能力を手に入れるだけのものが解放型です。」


「では干渉型は具体的にどんなものなんですか?」


思わず聞いたシギに、レイシアは考え込むような顔をして言う。



「おそらく、ここの領主が持っていると思われるものも、ティラさんの兄が持っていると思われるのも、どちらとも干渉型です。

ここの領主が得た『呪い』は、予想ではきっと『共有』という『呪い』で、なんらかの方法で他人を自分の意のままに操ることができるようになる『呪い』。

そうやって、能力を用いて『呪い』の力で他人を侵すのが干渉型です。」



納得するようにうつむいて何度もうなずくダグラス。

シギはしばらく黙り込んでからレイシアへ聞く。



「ならば、さっき通った兵士はその干渉型の『呪い』によって呪われていたということですね?」


レイシアはうなずいて、兵士が消えていった道のほうへ横目を向ける。


「はい。彼からは確実に『呪い』の気配がしました。

おそらく領主によって洗脳されているんでしょうね。

領主がすでにそうやって『呪い』をばらまくことによって街の人々を洗脳しているのだとしたら、ティラさんが言っていた街の人々の異常も説明がつく。」



そこでダグラスがはっと顔を上げる。


「それじゃあ、ティラの兄だってその領主に洗脳されたからおかしくなったとも考えられるんじゃないか?」


レイシアはダグラスの目を見た。


希望の光が浮かんでいた。



ティラに、辛い思いをさせたくないんだろう。

もしも兄が契約者だとしたら、何かを失うのだ。


それはとても………





< 320 / 364 >

この作品をシェア

pagetop