zinma Ⅲ
異人の覚悟
叫び声に反応して、レイシアはすぐにティラの家へと駆けた。
ダグラスとシギでさえ、一瞬姿を見失うような速さで、レイシアは飛び出す。
しかしそれに、
「逃がすな!!!!」
「追え!!!!」
街の住人がいっせいに3人へと襲いかかる。
レイシアよりも遅れて飛び出したダグラスとシギが、一番に狙われる。
「くそっ!」
思わずダグラスが振り向いて構えたところで、
「ダグラス!!!走りなさい!」
レイシアの一喝に、ダグラスは思わず肩をすくませる。
また走り出したダグラスの目の前で、シギがレイシアの目配せにうなずいた。
シギはすぐさま走ったままでダグラスのほうへ振り向くと、
「いいですか?
師匠が合図したら地面にふせてください。」
静かだが、力のこもった声でそう言う。
よくわからないままダグラスがうなずくと、レイシアが突然走ったままでかがみ、器用に右手の平を軽く地面に当てる。
レイシアの手が触れた場所がかすかに光ったかと思うと、レイシアはまた勢いよく走り出した。
そのままレイシアの右手がわずかに持ち上がったところで、
「ダグラス!伏せて!!」
自らも伏せながらシギが叫ぶので、ダグラスは慌てて身体を地面にくっつける。
レイシアが、手を軽く振るった。
ドンッ!!!!!
耳が痛くなるような爆音とともに、大地が大きく揺れる。
「う、うわあああ!!!」
あまりの揺れに、走っていたままの姿勢でいた住人たちはバランスを崩して倒れる。
それと同時、
「いまです!」
シギがそう囁いて、地面に伏せていた身体を一気に跳ね上げて、まだ走りつづけているレイシアを追う。
ダグラスも地面をたたき付けて同じように身体を跳ね上げると、2人を追う。
そのころにはレイシアはもうティラの家にたどり着いていて、勢いよくドアを開けていた。