zinma Ⅲ
「でもほんとに2人とも若いのに、2人だけで旅なんて大変じゃないかい?」
夫人がそう聞くと、金髪の青年が答える。
「いえ、好きでやってる旅ですからね。」
それに、なるほどねぇ、なんて夫人が言うので、ナムが聞く。
「お2人はおいくつなんですか?」
それに金髪の青年がナムを見て微笑み、
「16です。2人とも。」
と言い、長髪の青年もうなずく。
それにナムは持っていた皿を取り落としそうになりながら、
「えっ?!あたしのほうが年上?」
そう慌てる。
それに夫婦も驚いた顔をして、
「そんなに若いのかい?
こりゃ参ったなあ。はっは。」
そう主人が言い、夫人は少し困った顔をしながら、
「その年にしてはずいぶん旅に慣れてるようじゃないか。
いったいいつから旅を?」
それに金髪の青年は、
「私はやっと1年経つくらいですよ。」
そう笑うが、長髪の青年がそれに続ける。
「私はまだ1ヶ月と少しです。」
それにナムも夫婦も感心しながら、
「その年で旅だなんて、いろいろあるんだねぇ。」
そう夫人が言い、金髪の青年がやわらかく微笑む。
その微笑みにまたナムが目を奪われていると、そのナムを知ってか知らずか、主人が笑いながら言う。
「だがあんたたちみたいな男前なら、行く先々で年頃の娘に言いよられそうだねぇ。
男前は苦労するよ?」
それに夫人も、
「そうそう。
あんたたち綺麗な顔してんだから、危ない娘には気をつけなさいよ?」
それに旅人は笑う。
それにまた夫人が、
「うちの娘も年頃だっていうのに、そんな浮いた話はまったくないんだから。」
と言うものだから、ナムは顔を真っ赤にしながら、
「ちょっと!やめてよ母さんっ。」
それに金髪の青年は微笑みながら、
「今はそうかもしれませんけど、綺麗な方ですから。
すぐにお相手も見つかりますよ。」
そう言うので、ナムはさらに顔を赤くする。