zinma Ⅲ



ルシールが料理をシギのいるテーブルに並べながら、

「そういえば、レイシアさんはまだ寝てらっしゃるんですか?」

と聞く。


「いえ、もう早くに出かけられたようです。」

とシギが答えると、ルシールは驚いたように、

「そうなんですか?
ずいぶん早く起きられるんですね。」

と感心する。


そして最後にルシールが温かい紅茶をカップに注ぐと、

「ルシールさんは朝食はもうすんだんですか?」

とシギが聞く。


それにルシールが、

「いえ。いつも朝の家事をすませてから食べてますので。」

と答える。


それにシギは、なるほどとうなずいてから、

「よろしければいっしょに食べませんか?」

と聞く。



ルシールは驚いたような顔をしてから、少し照れたように顔を赤らめると、

「ご一緒していいんですか?」

と聞く。


シギはふわりと微笑み、

「はい。そのほうが私も楽しいですから。」

と言う。



そのシギの顔を見て、ルシールはかあっと顔を赤らめ、すぐに顔をそらし、

「えっと、じゃあ食事持ってきますね。」

と言って、自分の食事をとりにキッチンへ戻った。








自分たちの食事をテーブルに並べ、2人は朝食を食べた。


そこでルシールが口を開く。

「あ、そうだ。
シギさん、今日買い物に行きません?」


シギもそれに顔を上げる。


「買い物ですか?」


ルシールは微笑み、

「はい。買い物。
今日は王都から商人の方が来る日なんですよ。」

と言う。


「トクルーナの花を買い取りに来る商人さんで、ついでに生活物資を王都から持ってきてくださるんです。」



そろにシギが、

「トクルーナの人が出荷しに行くんではないんですね。」

と言う。


「はい。でも時々トクルーナの人も観光がてら王都に行きますよ。

私とルウは宿をやってますから、あまり行けないんですけど。

それでも数ヶ月に1回ほどは自分たちで花を売りに行くんです。」


それにシギは感心してから、

「じゃあ、買い物行きましょう。」

と言った。





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