zinma Ⅲ
4人で朝食を食べたあと、ルウは手早く庭仕事の道具を持って、レイシアとじゃれながら庭に出て行った。
シギが一度部屋に戻ってからまた食堂に戻ると、ルシールがバスケットに何やら詰め込んでいた。
「どうしました?」
シギが聞くと、ルシールは振り向いて微笑み、
「あ、お弁当を一応持って行こうかと思って。」
と言う。
そして入れ終わったところで、ルシールがバスケットを持ち上げようとしたところを、ひょいとシギがバスケットを持つ。
「じゃあ、行きましょうか。」
と言って何事もなく歩いていくシギにルシールは微笑み、着いて行った。
「今日はどこへ行くんですか?」
ルシールがそう言うと、シギは少し笑いながら、
「それが、とくに考えていないんです。」
と言う。
「え?」
とルシールが聞き返すと、
「私はまだトクルーナに詳しいわけではないので、適当に村の外を探検してみようかと思いまして。」
そうシギが言うと、予想外にルシールが顔を輝かせる。
「それ良いですね!
村の外に出ることってあんまりないので、私も楽しみです!」
それにシギが少し驚いた顔をして、
「そうなんですか?」
と聞く。
「ええ。村の外は街道以外はただの草原と森ですから、野犬なども出ますし。」
そしてシギを見ると、
「でも今日はまだ昼間ですし、シギさんがいるから安心して行けます。」
と微笑む。
シギはそれに微笑むと、
「それはよかった。
これでも多少鍛えてますから任せてください。」
と言って力こぶを作る仕種をする。
それに2人で笑いながら、村の外へ歩いて行った。
「ねぇ、レイシア。」
「なんですか?」
レイシアが庭仕事をする手を止め、ルウを見つめる。
ルウはレイシアの首にかかった石を指差す。
「それ、すごくきれいだね。」
それにレイシアもその石を見る。
まだ磨かれていないままの黄緑色の石は、太陽の光でいろいろな角度に黄緑色の光を放っている。