赤い糸―運命のヒト―



放課後、今日もあたしはバイトに向かう。



教室を出る時、あたしに声をかけようとする想が視界の隅に写ったけど、気付かないふりをした。



でも…



「ちょっ!!待て、空っ!!」



校門を少し出たところであたしを追いかけてきたらしい想に呼び止められた。



まぁ、そろそろ想には捕まって何か言われる頃だとは思っていたけどね…



「何?」



わざと冷たい声で返事をする。



本当はずっと大好きな想にこんな態度はとりたくない。



でもあたしは想を突き放すって決めたんだから…



きっと優しい想はどこまでもあたしを追ってきてくれる。



そんなのダメ…



きっとそれじゃあ2人で堕ちていくだけ…



あたしの『罪』には絶対想を巻き込まない。



この、幼い頃からどんどん膨らんでいる気持ちも抑えなきゃ…!!



…なんて。



この気持ちが無くなることがないことは自分が1番わかってるくせに…



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