赤い糸―運命のヒト―



そう思ってた時空が出てきた。



俺が慌てて立ち上がると人がいることに気付いたらしい空がこっちを見た。



俺と目が合った空は目を見開いた。



だけど空はすぐに無表情に戻って何事もなかったかのように歩き始めた。



今度は逃がさねぇよ…っ!!



「空っ!!」



俺は追いかけて空の手首を掴んだ。



振り返った空はやっぱり無表情で。



幼い頃に比べたら最近笑顔が増えてきたと思っていたのに…



また人形のような空に戻ってしまったかのようだった…



「何?」



数時間前と同じ冷たい声。



空はきっと感情を殺しているつもりなのだろう。



それでも俺には空の哀しい心の叫びが聞こえてくる…



< 113 / 140 >

この作品をシェア

pagetop