赤い糸―運命のヒト―
「大丈夫。大丈夫だよ、空…」
なだめるように空の頭を撫でながら言うと空は袖で涙を雑に拭った。
「無責任なこと、言わないでよ…」
素直になりかけていた空はまた強い人間を演じ始めた。
…どうしたら空の心を溶かせるのだろう?
「無責任なつもりはない。たしかに根拠はないけど、運命ってきっと決まってるものではなくて…変えていくものなんだと思うから…」
クサイこと言ってんな、俺…
でも…伝わってほしい…
なのに…
空の瞳は輝きを失っていた…――
「想、あたしに何を言っても無駄だよ?あたしは感情を殺すから…言ったでしょ?あたしは強い人間になるの。」
空は自嘲気味に笑った。
そして…
「じゃあ、帰るから。」
と言い、俺の部屋を出て行った…