赤い糸―運命のヒト―
【空side】



想の部屋で想と話したその日。



あたしは、この街を離れようと思った。



『罪』から逃げるためではない。



お金は毎月少しずつ返すつもり。



あたしが逃げたかったものは…



『想』なのかもしれない…



いや、正確には、『想に甘えてしまいそうな自分』から逃げたかった。



優しすぎる想に自分が頼ってしまいそうで…



それで、いつまでも1人で生きていけなくなってしまうのが恐かった…



『あの人達』には夜中に「お金は返すけど、この家は出る。」と伝えた。



あたしが『あの人達』から逃げられないことはわかってるらしく、もちろん止められることはなかった。



学校は…ほっとけばいいや…



…――



そして、密かに準備をしたあたしは暗闇の中、想と出会ったこの街を出た…――



< 119 / 140 >

この作品をシェア

pagetop