赤い糸―運命のヒト―



「空ちゃんならバイトを辞めさせてほしいって言いにきたよ。始めたばかりだったのにすいませんって。」



…やっぱり空はバイト辞めたのか…



本当に家出するつもりなのか…



「空は、これからどこかへ行くとか言ってました?」



「う~ん…それは言ってなかったけど、何で辞めるのか聞いたらこの街を出るって言ってたな。」



空は本気だ…



本気でこの街から、俺の前から姿を消す気だ…



でも、そんなこと俺がさせない…!!



俺が絶対見つけ出す…!!



「ありがとうございました。それじゃ…」



そう言って椅子から立ち上がった。



「…空ちゃんに、何かあったのかい…?」



「空が…いなくなりました…」



「え…?空ちゃん、引っ越しとかじゃなくて…?」



「はい…空は俺にも何も言わずに姿を消しました…」



本当に…俺はなんて無力なんだろう?



どうして空の追い詰められていた心に気付いてあげられなかったのだろう?



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