赤い糸―運命のヒト―



もうこれ以上あたしに温かい世界を見せないで…



そうしないと、寂しい世界に帰れなくなっちゃうから…



そう思っているのに…――



いつだって君の言葉は、温かすぎる…



温かすぎるよ…――



「誰が放っておくかよ…!!俺には空が大切だ!!なのになんでお前は自分を大切にしない…?空が傷付いて悲しむのがお前だけだと思ったら大間違いだ…っ!!俺だって…っ!!」



想は静かに涙を流した。



流れる涙を拭おうともしない想の涙が、あたしの腕に一粒落ちた。



あたしの為に涙を流してくれる人がいる。



あたしを想って泣いてくれる人がいる。



あたしにはそれだけで十分幸せなのに…



もっとたくさんの幸せを望んでもいいのかな?



神様…――



お金持ちになりたいとか、あれが欲しいとか、頭がよくなりたいとか…



そんな多くは望みません。



だから…――



“想とずっと笑っていられますように”



こんな、小さいけれどあたしにとっては大きいこの願いを…――



どうか叶えてくれませんか…?







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