赤い糸―運命のヒト―



力無くあたしがそう答えると「元気ないよ?本当に大丈夫?」とあたしの顔を覗き込みながら言ってきた。



しつこいと思いながらも「本当に平気です。」と抑揚なく答えた。



あたしがそう言うと夏樹君は、あたしと少し距離をとって、ガサゴソと自分のポケットを探り始めた。



どうやら携帯を探していたらしい夏樹君は、見つけた携帯をあたしの前に出してきた。



「よかったら話聞くよ?いつでもメールでも電話でもして?」



…それってメアドと番号、交換しようってこと?



…イヤだ…



「…大丈夫です。」



さり気なく断ろうとするけど…



「遠慮しないでさ~…教えてよっ!!ねっ!? 」



遠慮なんてしてないし…



教えたくないだけ。



それからも、断わり続けているのに粘っ てくる夏樹君。



いいかげん限界がきたあたしが大きな音 をたてて椅子から立ち上がると同時に…



「お前、さっきから見苦しい。しつこい 男は嫌われるよ?」



あたしを助けてくれたのは…



< 34 / 140 >

この作品をシェア

pagetop