赤い糸―運命のヒト―
「じゃあ、帰るか。」
そんなあたしの気持ちに想が気付くはずもなく、やっぱりいつも通りにそう言った。
「…うん」
複雑な気持ちの中、あたしもいつも通りを装って返事をした。
「歩けるか?」
優しくそう聞いてくる想。
想のこういう優しさがあたしをいつまでも惹きつける。
「大丈夫。」
あたしは少し微笑んで言った。
少し体が痛いけど、熱は大分下がったような気がする。
「そっか。じゃあ行くぞ。」
想は少しあたしを気遣いながら歩いてくれた。
あたしは、時々「平気か?」と覗き込まれてドキドキしながら…