赤い糸―運命のヒト―



…――



それから数分後。



少し落ち着いてきた空は赤くなった目を俺に向けた。



「想、あたしこれからバイト始めるね。だから一緒に帰れなくなるかも。」



少しはにかんでそう言った空は傷ついた顔をしていた。



…そんな顔、するなよ。



俺は空のそんな顔を見たい訳じゃないのに…――



「空…」



「…ん?…あ、もしかして想、あたしがいないと寂しいんだ?」



ニヤニヤしながら聞いてくる空だけど、それさえも無理して明るくしてるのがわかる。



「…べっつに~?1人だって平気だし。空のが俺がいなくて寂しいだろ?」



それでも気付かないふりして明るく返す俺は正しいのだろうか?



ねぇ空…



君は今、その作り笑顔の裏でどんな顔をしているの…?







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