未定
1.
「離れるね‥。」
吐く息が白くなる3月上旬、繋いだ手を強くして彼は言った。
「え?」
降り続ける雪に見とれていた私は、呑気な声で彼を見た。
「高校。もう卒業だよ。」
足を止めて目を合わせた。
「そうだね。」
私は、伊藤かすみ。
¨彼¨は、私の彼氏の佐野竜一だ。
優しくて、少し鈍感な性格をしている。
あと十日でこの中学校生活も終わってしまう。卒業だ。