一番近くに君が居る

「……」


さて、どうしようかと翔は考える。どこまで自分が口出しして良いものなのかと。

直哉が望んでいる方へ話を持っていってやることも出来るっちゃあ出来る。でもそうなると、今まで直哉が大事に育ててきた関係を自分が壊すような事になってしまうかもしれない。


「…おまえらの関係に対してあり得るかあり得ねぇかなんて答えらんねぇよ。直哉とココの気持ちの問題だろ?そんなの他人が見て分かるような事じゃねぇ。それに、その関係がどの場所でどの距離かっつーのでもやっぱ違うだろ?アイツとおまえ、お互いが何をどう望むかだろ」


結局、なんだかあやふやな感じでしか翔には答えられなかった。
その関係だの距離だのに具体的な名前を当てはめる事は出来る。しかしココはまだそれを望んでいない…というか、ココ自身が気付き、考えるようになるまで、その関係の存在はなるべく口にしない方がいいように翔には思えた。
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