一番近くに君が居る
「うん、困ってた。でも助けて貰えて嬉しかった」
俯き加減に告げる美穂は、頬が紅く染まっているのを隠しているようにも見え、恥らう様子が遠目に見ていたココにも分かった。
その姿は、ココの中での美穂の印象とまるで違った。
中学生の頃にも直哉と二人で居る美穂を見た事はあったのだが、いつも気を張っていて気を遣っていて、そして警戒心を自分に向ける強気な印象を抱いていた。
しかし今の美穂はどうだろう。頬を染め、柔らかに微笑んで見せる彼女からは強気な印象は一切無い。
恋をしてるんだ…
そう思ったら、そっとココの足は動き始めていた。一人、自分の教室へと。