一番近くに君が居る
そんな翔に「なに?」と訝しげな顏をするココを見て、翔は今の自分の状況に気づき、慌てて平静を装った…が。
「いや、なんでもねぇ。続けてくれ」
「?…うん…でね?恋は戦だってわたしは聞いててね?実際にみんななんか恐い顏してると思ったから、なるほどって思ってたのね?だけど違うんだね。戦じゃないんだね」
「……」
だ、ダメだダメだ落ち着けと、話の腰を折ってはいけないのだと、翔は必死に自分に言い聞かせた。
何故だ、どうしてこうもツッコミ所が目に見えてわかるのだ。ツッコミたい。聞いてしまいたいという気持ちがとてつもなく湧き上がる。そして更にそれは誰にどう教えられたのか、ずっと今まで恋愛に対してどんなイメージを持っていたのか、翔には疑問も浮かび上がって仕方ない。
しかしそこはそんな事をしてまた話が進まなくなったらどうするんだと言い聞かせる事でなんとか、何事も無いような素振りで乗り切ることが出来た。
「…そうだな。戦って訳ではねぇんじゃねぇかな」
「そうだよね?きっとそうだよね?今日ね、やっぱ違うと思ったの。なんかね、可愛かったの」