一番近くに君が居る

「…可愛いかった?」

「そう」

「誰が?」

「え?」

「誰が可愛いかったんだよ」

「あ、えっと…み、美穂ちゃん…」


なんて、美穂の名前を口にしたココは目をスススと逸らし明らかに動揺している。恐らくそこにココ本人の“分からない”の部分が潜んでいるのだろう。

しかし、翔の方はなんだか先が読めた気がした。そして思う。昨日まで健在だったあの自信はどこへいったのやら。美穂の事など眼中にも入っていないと、そんな素振りであったのに、と。


「…まぁ、二人で帰っただけであんだけ騒ぎになるっつー事は、なんかしらあったんだろうな。元カノっつー事を差し引いても、周りの奴らが見てそう思わざるを得ないような何かがよ。で、その何かを起こしたのは誰だと思う?」
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