一番近くに君が居る

「……」

「でも直哉の事はきっと一番好きなの…でも直哉が直哉で居てくれればそれでいいの…わたしは、わたしは直哉の事どう思ってるの?」


結局最後は困り顏で首を傾げる事になるココ。彼女は翔に答えを求めている。
しかしそんなココに翔が教えられる事はなかった。


「…だから、ンなもん分かんねぇって。他人の気持ちなんて分かんねぇよ」


翔の返事に「そっか…また何も考えが進まないや…」なんて残念そうに呟くココであったが、翔は何言ってんだか、と思う。

今朝に何が合ったかは知らないが、今回の出来事でココの気持ちが一歩動き始めたのは明らかだと思った。この先どう転ぶかは分からないが、決めつけていた枠からはみ出たのは確かである。


「…牧をあんまシカトすんなよ?可哀想だからな」


そう言ってやるとココはバツが悪そうにヘヘッと笑う。笑い事で済みますようにと翔は思った。
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