一番近くに君が居る



学校からそこまで遠く無いココの家。直哉はあのまま走って来たため、インターフォンを押す前に上がった息を落ち着かせる。

今の時刻は19時を過ぎた所。まだ寝てはいないだろう。でも一度電話で連絡しておいた方がいいのだろうか、なんて思いながらも昔から何度も出向き、お世話になっている篠宮家なので、誰が出て来ても何も問題は無かった。

そして落ち着きを取り戻した所でインターフォンへと手を伸ばしたその時。


「…あれ?直哉?」


隣から聞こえて来た声にハッと顔を向けると、そこにはTシャツにショートパンツでコンビニ袋をぶら下げたココが立っていた。


「今コンビニ行って来て…何か用事?」


そう言って不思議そうにしながらも、「あぁ、部活終わりなんだね!お疲れ様ー!」なんて笑顔で声をかけて来るココは、まさしく普段通りのココであって…直哉は思わず、安堵の溜息をついた。
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