一番近くに君が居る

自分の部屋で男と二人っきり、しかも一人だと教えるなんて!少しは警戒ってものをするべきだ。俺だから良いものの、俺はそういうつもりは無いけども、俺はそんな事なんてしないけども……つーか、そういう目で見られてねぇって事なんだけども……

ズーンと落ち込む直哉。今まで何度も打たれてきている。これしきの事ではめげない。めげる訳にはいかないぞと精一杯言い聞かせる。


「?、どうしたの直哉?」

「…いや、なんでもねぇ」


こんなやり取りをあと何回するんだろうな…なんて思うと、直哉は溜息をついた。ここの所、溜息の数が半端ない気がする。


「大丈夫?直哉?」


隣で可愛らしく首を傾げ、心配そうに見つめてくる大きな瞳に直哉は嬉しいんだか虚しいんだか複雑な気持ちだった。
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