一番近くに君が居る


…傑作だった。
これは傑作だと翔は思った。

ココの目の前、翔の隣には衝撃を受ける直哉の姿。口も瞳も開いたままになっていることに、きっと彼は気づいていない。

そんな彼の口からふるふると、芯の無い震えた声が出て来たのは、たっぷり5秒は時間を置いた後だった。


「こ、ココは…メイドに、なるのか…?」

「うん!咲ちゃんとなる!」


ガンッと頭上に岩が落ちて来たような、そんな様子であった。直哉はヨロヨロとしつつも、グッと踏ん張る。


「だ、ダメだ!絶対ダメだ!」

「え?」

「ココ、メイドはダメだ!違うのにしてもらえ!」

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