一番近くに君が居る


「あとはさっき決めた仕事の役割ごとで分かれて今後のスケジュールを決めてくれ。夏休み明けの9月に合わせるだけで完成になるように。なんかあったら俺に連絡してくれればいいから」


以上!と、長田からの連絡事項が終わり、今日もまたホームルームを終える。
バタバタと動き出すクラスメイト達。友美も咲も「じゃあね!」とクラスを出て行った。

いつもなら真っ先にクラスを出るココであったが、今日はどうやら違うらしい。カリカリと教壇で板書していた分も紙に写している長田の前で、ココはジッとそれを見て佇んだままだ。


「…何か用?篠宮さん」


思わずその視線に耐えられなくなった長田がココに声をかけると、「え?」と、ココは首を傾げる。


「いや、なんかずっと見てるから…帰らなくていいのか?」

「うん。今日は翔君何か用があるんだって。すぐ終わるって言うから待ってることにしたの」


「ふーん」と答えながら長田は、だからって何でここに?と思うが、もう尋ねるのはやめた。そんな事よりも早く写してしまわないと。長田は部活に行かなければならないのだ。
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