一番近くに君が居る
カリカリとまたシャーペンを走らせる音が再開され、二人の間には暫しの沈黙が続く。
その沈黙に気まずさは無かったが、何も言わずに目の前に佇むココの様子が気になり手元の用紙からチラリとココの方へ長田は視線を移した。するとそこにはにこやかに微笑むココの姿があった。
「…なんだ?」
「え?」
「何で笑ってるんだ?」
「んー?だって長田君大変そうだなと思って」
「…俺が大変そうだと楽しいのか?」
「?、楽しくないよ?なんで?」
「いや、なんか篠宮さんニヤニヤしてるから」
「ニヤニヤ?わたししてる?」
長田が「してる」と答えると、ココは可笑しいなぁと首を捻る。
「もしかしたら、すごいなぁと思ったからかなぁ」