一番近くに君が居る

笑華が尋ねると、ココは「うん…」と頷くが、それはどこか納得がいかないといった様子だった。それもそのはずだろうと、笑華は思う。


「 ココちゃんはあたしが嘘をつくと思う?嘘つきが大嫌いなこのあたしが」


昔、笑華とココは嘘つきだなんだと揉めたことがある。その時にココは嘘つきが大嫌いな笑華に疑われ、どうやって信じてもらおうかと試行錯誤したのだ。


「…ううん、笑華ちゃんは嘘をつかないよ。だけど…何かね、それは違うと思ったの」

「それって…恋は戦って事?」

「そう。なんかね、違ったの。もっとなんかこうピリピリしたものじゃなくて…ふんわりしたものなんじゃないかなって…思って」

「へぇ。恋ってものは、ふんわりしたものだと?」


笑華が尋ねると、ココは自信無さ気にしながらもコクリと頷いた。なるほどなるほど。ココちゃんもついにそんな時期か…なんて笑華は心の中でうんうんと頷く。

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