一番近くに君が居る

そう告げると、ココは「え?」と、顔を上げる。


「昔からそうだよ、美穂は。直哉の前じゃいつもそうだった」


「でもわたし、そんなの見たことなくて…」

「ココちゃんが見てなかったんだよ、美穂のこと。ココちゃんとかあたしの事を見てる美穂を知ってても、直哉の事を見てる美穂を知らなかったんじゃない?」


そう言われて、ココはハッとした。そうだ、その通りだ。直哉の傍で周りを気にする美穂。自分の事を見る美穂しか見たことが無いかもしれない。直哉の事を見つめる美穂を、ココは見たことが無かったのだ。


「恋は戦だよ、ココちゃん。自分がココちゃんの言うふんわり?出来る人を他の人より先に手に入れなきゃいけないし、その人に選ばれなきゃいけないんだから。負けてられないでしょ?でもその後。その後の恋愛は…違うかもね」

「…え?」


「れ、恋愛って何⁈ 」と目を大きくさせて尋ねてくるココに、笑華は「さぁ?」と微笑んで答える。

「ケーキきた!食べよ!」笑華がそう言って話は終わってしまったが、ココはまた一つ分からない事が増えてしまった。

恋愛ってなんだろう…
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