一番近くに君が居る

「ココ、今日髪型違うな。いいなソレ」

「!、ほんと?嬉しい!久代さんがね、折角だからってやってくれたの!」

「そうか、なんかいつもと雰囲気変わるな」

「でしょ!可愛いよね!」

「あぁ、可愛い」


直哉はサラリと言った。お互い普段からそう言う事をサラリと言いあう所がある。当たり前の褒め言葉として直哉はきっと言ったのだろう、ココはそう分かっている。分かっているし、慣れている所もある。あるはずなのだが…


「……」

「ん?どうしたココ」

「う、ううん!ありがとう!直哉も格好良いよ!」


「いや、俺は何もしてねぇよ」なんて困ったように笑う直哉に、ココはいつものように笑ってみせた。そう、いつもの事だ。きっといつもより気合いを入れてたからだ。可愛くなる事を意識していたからだ。だからこんなに…こんなに、胸の奥がキューっとなってるんだ。

そしてたわいもない話をしながら二人は神社へと向かう。ココはなんだかそれすら楽しかった。直哉と居るだけで楽しいなと、やっぱり一番傍に居るからだなと、改めて実感した。

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