一番近くに君が居る



“いつまでそんな事やってんの?”



直哉はたまらなく悔しかった。

その通りだ。俺はいつからこうしてる?ずっと前から分かってた。俺はどうしたいのか分かっていながら、壊れるのが怖くて一歩進もうとしなかった。だから今、俺はここに居る。俺だけがここに居る。俺がこの場所を、作ってしまった。


その途端、直哉は走り出していた。美穂の呼び止める声が聞こえるが、もうそこには居られなかった。はやく、はやくココに会いたい。想いだけが先走り、もどかしく思いながらもひたすら足を進めるが、無情にも、聞こえて来たのは花火の上がる音。

見上げた夜空には、輝く花火が大輪の花を咲かせていた。

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