一番近くに君が居る
カチリとはまったピース。完成したそれは、自分でも呆れるほど幼稚なもので。
「美穂ちゃんが褒められるの、見たくなかったんだ…」
口にしてみるとそれは、余計に辛く…恥ずかしく、感じた。
そしてココが口を閉じる事で、その場に沈黙が生まれる。
ココは自分の気持ちにショックを受け、言葉にならないようだった。そんなココの様子を見て長田は必死に言葉を探していた。
正直、篠宮さんと牧の関係を詳しく知らない。あれだけ下校時に迎えに来ていたのだから当然付き合っているのだと思っていた。しかしその後、今ではあの佐久間とかいう奴が迎えに来ている。でも今日の祭には二人で来ていて…で、今向こうに牧は他の女に連れられて行った…
どっちとも取れるように思う。付き合っているようにも、付き合ってはいないようにも。しかし、余計な事は口にしない事にした。人の恋愛事情にこちらから首を突っ込むのは野暮だと思った。
「…向こうの奴に負けたくなかったのか?何か言われたのか?」
「い、言われてない…負けたくない、わけでも…ない…あ、あのね、長田君!」
「ん?」
「わたし、後悔してたの。浴衣で来なくて。でもね、美穂ちゃんはちゃんと来てたの」
「うん」