一番近くに君が居る

「友美もメイドになればいいのにー、調理に回るとか言うしねー」

「そりゃあ真っ黒なメイドとか嫌でしょ、だからいいの!ココは?着ぐるみどうだった?」

「案外可愛かったでしょー?」なんて咲も一緒に尋ねる。するとココは、「うん、そうなんだけど…」と、やや気に入らなそうに言葉を濁らせた。


「ん?何?やっぱダメ?」

「…ううん。ただね、すっごい暑そう」


本気で困った顔をするココに思わず二人は笑ってしまった。「た、確かに!」「盲点だった!」なんて言うとまた二人で笑い出す。

何がそんなに可笑しいんだろう…なんて思いながらも笑う二人と足を進め、始業式の始まる体育館に到着した。

各学年各クラスで一列に並ぶ全校生徒達。自分も列に並びながら、その中で同じ学年の別のクラスの列をココは探した。もちろん、直哉と翔のクラスだ。


あ、居た居た!翔君!翔君とーー



ーー直哉……



直哉を見るのはあの祭の日以来だった。今日の今、始業式で初めて見たのだ。

そう、つまり。


今日は朝、迎えに来てくれなかったな…


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