一番近くに君が居る



“話がある”


そう言った直哉。

ココはいつものように「なぁに?直哉」なんて顔を戻してみると、そこにあったのはいつもとは違う彼の表情。

……え?何…?


思わず次に続けようとしていた言葉をココは飲み込む。違う、きっとこれからの話はとても大事なんだと、直哉の表情から理解した。

直哉は言葉を無くしたココを見て、あぁ、今自分はどれだけ酷い顔をしているのだろう…なんて心の中で思う。するとなんだか愉快に思えてきて、心に幾分か余裕が生まれた。


「…伝えたい事があるんだ」


ついに迎えたーー今日この時。

いつかこの時を迎える日が来るとは思っていたけれど、なんだか突然で実感が湧かない。

でもきっと、ずっとこの時を待っていた。


「ココ…俺…」


だからいいんだ。もう決めた。今までの俺達の関係は今日でーー


ーー終わりだ。


「おまえが、好きだ」


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