一番近くに君が居る


まるでココの気持ちも全て分かっていたみたいだ。俺だってこの間聞いてやっと少し分かったのにだ。やっと俺が……つーか、あれ?俺、今日初めてこの話佐久間にするよな?ココが俺の事どうも思ってなかったって言ったけど、安心してたみたいな話はしてねぇよな?でも今の言いようじゃあ随分前から知ってるみたいな…だから一目置いてるって……まさか。


「…俺、ココが安心してたんなら今までの自分は間違って無かったんだろうって、あの後自分に言い聞かせた所がある。もしかしたら違う方法もあったのかもと少し後悔したりしたけど、ココにそう言われて少し助かった。…でも、それは本人に言われたから分かった事で」

「?」

「…つまり。おまえ、前から知ってたんだろ。どこまで知ってる?」


「誰から聞いた?」なんてジロリと翔を見てやると、翔はどこ吹く風でしれっと答える。


「オレとココは前からそういう話をする仲っつーだけの話」

「!」


そしてその後、今更何だよ、なんて表情で訝しむ翔。今更って…あぁ、そうだった!美穂の事もココと話したっつってた気がする!てことはもしかして、結構前から知ったっつーことに…!

…でも、知ってたんなら教えろなんてそんな事は言えない。そうだ、ココの気持ちをこいつから聞いてたらまたどうなってたか分かんねぇし、結局ココが俺の事どう思ってたのかが変わる訳でもねぇ。

ただ、ただ一つ。


「全部知った上での今までを思うと…おまえ、随分楽しめたんじゃねぇの?」


恨めしそうに翔に尋ねると、翔はニッコリと笑って「ま、おまえらはきっとこんな事でも無い限り一生あのままだったろうな」なんて表情とは随分かけ離れた辛辣な言葉をはいた。

そうだ、こいつはそういう奴だ。




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