一番近くに君が居る


改めて何を尋ねられたのか考えてみると、それは初めて他人から問われたものだと思った。“何故”でも“どうして”でも無い。“何”だ。

無意識の緊張感からココはごくりと唾を飲む。


「そ、それは…やっぱり、昔したずっと一緒に居るって約束が…、」

「約束したから一緒に居るのか?約束が無かったら一緒に居たくねぇのか?」

「そ、そうじゃなくて、一緒に居たく無い訳ないし、もちろん直哉の事は好きだし、でもだから居たいっていうかなんか、居るのが当たり前ってゆうか、一番の友達…っていうのかな…」


だんだんと自信無さげに俯いてしまうココ。自分の気持ちが見えないココに、その言葉をハッキリと言い切る事など出来ない。しかし辿り着いたのはやはり“友達”という言葉。

翔はやっぱり、と確信した。


「おまえの言うその、“約束”のせいでこんな事になってるんじゃねぇの?」


するとココは「え?」と俯き加減ながらも視線を翔に合わせる。それを確認した翔はまた彼女に問いかける。


「前におまえは牧が牧のままならいいって言ったな。それは牧の一番がおまえじゃ無くなってもか?」

「……」


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