一番近くに君が居る

「……何でそんな事を言うの？」


酷い、とココは思った。


「ずっとそう思ってたの？わたしの話とか、直哉の話とか、そう思いながら聞いてたの？」


睨みつける、という視線ではない。ココのそれは落胆の色を浮かべていた。今まで信じていたものが崩れ去ったと感じたのだろう。

しかし翔は、そんなココに「いや、違う」と否定の言葉を口にする。


「二人で納得して、二人で作り上げた関係にそんな事は言うつもりはねぇよ。つーか、今までは逆に感心してた。まさかそんな事があるなんてってな。…でも、今は違ぇだろ。その関係は二人が求めてる形じゃねぇ」

「……」


それは、直哉はもう今までのような関係を求めていないよなと、そういうこと。一番傍は友達では無いと、直哉はいつから知っていたのだろうか。それを考えるとココはまた切なさで胸が痛くなる。