一番近くに君が居る

「これからはおまえの好きなようにするって、牧は言ったんだよな？」


翔の言葉にココはうん、と頷いた。


「…今まで通りが良いなんておまえが言って良い言葉じゃねぇ。それこそ、一番言ってはいけねぇ言葉だ」


「直哉にとっても、おまえにとっても」と、続けた言葉が、ココにはもうしっかりと理解出来た。


でも…でも、そしたらわたしは…


「…どうすればいいの？」


ポタリと地面に落ちた雫のように、その呟きは落ちてその場に染み渡る。


直哉の気持ちを知りながらそれを無視して今まで通りに居て下さいなんて、そんな事頼める訳が無い。でもわたしが求めているのはその今まで通りだ思っていた。今まで通りが一番近いんだと信じていた。今まで通りの形しか知らなかった。


「ココは、牧の好きなようにして欲しいって前に言ってなかったか？牧がおまえと付き合いてぇっつってんだ、そしたらそれでいいんじゃねぇの？」