一番近くに君が居る
「で、でも…」
「あぁ。そう簡単にはいかねぇよな?好きじゃねぇのに付き合えねぇ。好きか分からねぇから答えられねぇ。おまえはそう思ってんだろ?今までずっと考えてこなかったんだもんな」
「……」
「アイツはずっとその逆だ。好きだけど付き合えねぇし、好きなのに言葉に出来ねぇ。何故ならおまえはそれを望んでねぇからだ。おまえが望む、お前の一番快適で最適だと思って来たおまえらの関係は、アイツが大事に守って作り上げて来たもの。つまり、
ーー結局、おまえはアイツに全部背負わせてたんだ」
その一言は、ココにとって新たに知った一つの事実だった。
わたしは今まで、何を思い、何を感じて直哉と一緒に居たんだろう。どんなつもりで一番近くに居ると思っていたの?
なんで直哉の気持ちに気づいてあげられなかったの?
直哉はずっとわたしを想ってくれていたんだ。ずっと、わたしが想う以上に直哉はわたしを想ってくれていた。
その時、ココの胸に新しい何かが広がる。新しい色に、染まっていく心。
それに、ココは動揺する。