一番近くに君が居る
すると翔は「いやぁ…」と目を泳がせた後、ついに観念したらしい。「…普段は、絶対こんな事しねぇんだ」と、口を開いた。
「他人の人間関係にとやかく言いたくねぇし、興味も無かったんだけどな?ただ、あまりにも見てられなかったっつーか、傍に居て毎日見て、どっちも知ってる身としては…つーか、アレだ。特に牧だ。オレは牧に少し感情移入してる節がある」
なんて言いながらバツが悪そうにする翔。
「アイツの事気に入ってんしな。もちろんココ、おまえの事も。だからつい今日は言い過ぎた。助言どころか出しゃばった。おまえの気持ちに、おまえらの関係に…少し、触れ過ぎた」
そして「悪かったな」と、翔は申し訳なさそうに、素直に謝る。こんな姿を学校の生徒が見たら翔への印象もガラッと変わるだろう。それだけ翔は誠心誠意、といった態度だった。
そんな翔をココはキョトンとして見る。そして次に発した言葉は、
「なんで謝るの?」
だった。