一番近くに君が居る
「まだ分からないんだけど…なんか、なんとなくね?分かった気がする!」なんて、何がだ?と翔が尋ねる前にココは言う。
「いやいや、どっちだよ」
翔が笑いながら答えると、ココも楽しそうに笑った。どうやらココの心は今日の出会った時に比べ、随分とスッキリしているらしい。
「だからわたしね、もう少し考えてみようと思う!」
ニコニコと屈託のない笑みで微笑むココ。
…しかし、そんなココの口から出た言葉は笑えない事実。
「わたしね、もう一人気になる人がいるから!」
「あぁ。……はぁ⁈ 」
「あ、もう駅着いた。じゃあ翔君また明日ね!あ、明日文化祭だね!楽しみ〜!それじゃまたね!」
そして言うだけ言って、そのままココはスキップでもするかのようにウキウキと自宅のある方へと帰って行った。取り残された翔は、ただただその後ろ姿を見つめる事しか出来ず…
「…おいおい、流石に穏やかじゃねぇだろ…」
そんな呟きも、ココの耳には届く訳も無かった。